第6回 玉川上水小金井周辺流域で7-8月に見られる野草の花

7月と8月、玉川上水の緑道はうだるような暑さです。木々のない場所では、長く歩けば命の危険を感じます。高木の残されている場所では、強い日差しが青々と茂る葉によってやわらぎ、涼やかな風が吹きます。

 

伐採区域の柵の内側は、夏の日差しを好む様々な野草が人の背を超えるほどに伸び、そうしてつくられた藪の上につる植物が絡みついています。それらの植物が、この時期たくさんの花を見せてくれます。大きいのもので2m近くにまで成長するヨウシュヤマゴボウやススキ、アメリカオニアザミ、人の腰くらいの高さになるのはアキカラマツ、ツリガネニンジン、ワレモコウです。足元にはミズヒキ、ユウガギクが咲きます。つる植物では、クズ、センニンソウ、カラスウリなどが目立ちます。枝いっぱいに花をつけるのはヤマハギの木です。

 

これらの植物は雑木林の区域でもみることができますが、日射が木々によって遮られるため、伐採区域と比較すると少ないように感じられます。目に留まるのは、ぷっくりと膨らんだオニグルミやエゴノキ、ネズミモチの木の実、芳醇な香りを放つクサギの木の花です。

 

散歩に良い季節とはいいがたいですが、生きものたちは今日も必死に生きている、そんな様子を眺めに行くのもいいかもしれません。帽子と水、暑さ対策をどうぞお忘れなく。

 

※写真はクリックすると拡大します。

それぞれの花について

アキカラマツ
アキカラマツ

アキカラマツ

山野に生える植物。玉川上水では日当たりの良い場所で一般的に見られます。小さく薄い黄色の花を茎の先端にたくさんつけます。ふわふわとした優しい雰囲気の植物です。腰丈くらいの高さに成長します。


アメリカオニアザミ
アメリカオニアザミ

アメリカオニアザミ

外来のアザミです。日当たりのよい場所で見られます。葉や茎に鋭い棘が無数にあるため、観察の際は注意が必要です。大きいものでは人の背丈ほどに成長します。


カラスウリの実
カラスウリの実
カラスウリ 昼
カラスウリ 昼
カラスウリ 夜
カラスウリ 夜

カラスウリ

秋に朱色のコロンとした実をつけるつる植物です。実は有名ですが、その花を見たことのある人は少ないかもしれません。夕方から翌朝にかけて、白いレースのような幻想的な花を咲かせます。伐採区域のような開けた場所で多く見られます。


キツネノカミソリ
キツネノカミソリ

キツネノカミソリ

鮮やかなオレンジ色の花を咲かせます。6片の細長い花弁が可憐です。伐採区域で伐採前に見られていましたが、現在は藪に覆われて見られなくなりました。


クサギ
クサギ
クサギの実
クサギの実

クサギ

落葉低木です。伐採区域にも多く生えていましたが、伐採後再び成長し、今年も花を咲かせました。薄いピンクの花を咲かせます。花が終わると藍色の実を付けます。


クズ
クズ

クズ

クズ餅の原料となるつる植物です。特に伐採区域では木を覆ってしまうほどに繁茂しています。紫色の大きな花をつけます。

 


ススキ
ススキ

ススキ

日本の秋の風物詩ともいわれる植物です。日当たりのよい場所に生えます。この辺りの玉川上水でも、所々で群落が見られます。穂から垂れ下がるように数mm程度の小さな花が並んで咲きます。2m程度の高さに成長します。


センニンソウ
センニンソウ

センニンソウ

白い花をたくさんつけるツル植物です。花弁のように白いものは、実はガクなのだそうです。雑木林でも伐採区域でも多く見られます。


ツリガネニンジン
ツリガネニンジン

ツリガネニンジン

山野の日当たりのよい場所を好む植物。この辺りではよく見られます。2,3cmほどの小さな釣鐘のような花を付けます。花の色は白色や薄紫色、やや濃い紫色など様々です。腰丈ほどの高さに成長します。


ミズヒキ
ミズヒキ

ミズヒキ

林内や道端でふつうに見られる植物です。日射が少ない場所の方が元気に生育しているように感じられます。大きな葉の割に花は小さく、細い糸のような茎に赤と白の花を並んでつけます。涼やかな夏の花です。雑木林でも伐採区域でも多く見られます。


ヤマハギ
ヤマハギ

ヤマハギ

野で見られる落葉低木で、秋の七草のひとつです。この辺りでは伐採区域のような日当たりのよい場所でよく見られます。紫色の花を枝いっぱいに付けます。


ヤマユリ
ヤマユリ
オニユリ
オニユリ

ヤマユリ

ヤマユリは山地に生える大きなユリです。大きな白い花を咲かせます。花弁にはオレンジ色の筋と、赤い斑点が目立ちます。伐採区域に生えていますが、藪に隠れて見にくくなっています。同じユリでも一回り小さいオレンジ色のオニユリも見られます。


ユウガギク
ユウガギク

ユウガギク

山野に生える植物です。この辺りの玉川上水では、この時期によく見られる菊です。細く小さな葉と白や薄紫の舌状花の組み合わせはとても清楚に感じられ、見つけると嬉しくなります。


ヨウシュヤマゴボウの花と実
ヨウシュヤマゴボウの花と実

ヨウシュヤマゴボウ

空き地などで見られる外来の植物です。薄いピンク色の可愛らしい花を咲かせたかと思えば、どす黒い実を付けます。実や根には特に強い毒があるそうなので、注意が必要です。成長速度が早く、草本にもかかわらず木のようになります。


ワレモコウ
ワレモコウ

ワレモコウ

ツリガネニンジンと同様に、山野の日当たりのよい場所に生えます。枝先に2,3cm程度の濃いえんじ色の丸い花を付けます。腰丈ほどの高さに成長します。どこでも見られるというわけではありませんが、大きな群落をつくっている場所もあります。