第8回 玉川上水小金井周辺流域で10月に見られる草木の花や実

秋も深まる10月。気温が一気に下がり、草木の緑はやや元気をなくしているように感じられます。紅葉が見られるときも近いようです。

 

伐採区域の柵の内側では、明るい場所を好むノコンギクやユウガギク、シラヤマギクなどのノギクが藪の中で花を咲かせています。ススキやノハラアザミもまだ見られます。しかし観察できる花の種類はずいぶんと減り、その一方で各種のつる植物の実が目に留まります。アオツヅラフジの藍色、カラスウリの朱色、ヒヨドリジョウゴの紅色など、色とりどりに染まっています。柵に絡みついていたセンニンソウは、その名の通り仙人のヒゲのような毛を生やした実をつけました。それらのつる植物もまた、明るい場所を好む植物です。伐採の影響により、そのような植物が増えていると感じられます。

 

雑木林区域の開けた場所では、伐採区域において確認されたノギクの花や、つる植物の実が見られます。一方樹木の多い場所では、開けた場所を好む植物は少なく、イイギリ、シロダモ、ネズミモチ、クロガネモチ、エノキ、ムクなどの樹木の実がよく目立ちます。小鳥にとっては一口サイズの食べやすい木の実です。木の葉が黄色や赤色に変わる頃にはこれらの実が熟し、この辺りには多くの鳥たちが訪れるでしょう。

 

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それぞれの花について

シラヤマギクの花
シラヤマギクの花

シラヤマギク

数は多くはありませんが、伐採区域で確認されています。人の背丈ほどの高さに成長し、数センチ程度の白い花をたくさん付けます。明るい場所を好みます。


ノコンギクの花
ノコンギクの花

ノコンギク

ユウガギクによく似た白や薄紫色の花を咲かせますが、花の下の総苞で見分けることができます。双方がワイングラスのような形をしているものがノコンギクです。明るい場所を好むためか、伐採区域で多く見られます

 

 


ユウガギクの花
ユウガギクの花

ユウガギク

夏から秋にかけて、ノコンギクに似た白や薄紫色の花を咲かせます。明るい場所を好むためか、伐採区域で多く見られます。総苞がカクテルグラスのような形をしています。小金井辺りでは最も多く見られるノギクの仲間です。

 


ススキの花
ススキの花

ススキ

秋の七草のひとつに数えられる、秋を代表する植物です。玉川上水では夏の終わりごろから秋にかけて観察できます。やはり明るい場所を好むためか、伐採区域や雑木林の開けた場所でよく見られます。

 

 


ノハラアザミの花
ノハラアザミの花

ノハラアザミ

数は多くはありませんが、伐採区域や雑木林の開けた場所で確認されています。明るい場所を好みます。夏から秋にかけて見られるアザミです。

 

 


アオツヅラフジの実
アオツヅラフジの実

アオツヅラフジ

つる植物です。夏に小さな黄緑色の花を咲かせ、秋にマットな質感の藍色の実をつけます。葉は丸っこく可愛らしい見た目をしています。雑木林でも伐採区域でも見られます。

 

 


カラスウリの実
カラスウリの実

カラスウリ

つる植物です。夏にもカラスウリのレースのような花を紹介しました。秋には朱色のコロンとした実を見ることができます。緑も少なくなり、明るい色の実が良く映えます。伐採区域でよく見られます。

 

 


ヒヨドリジョウゴ の実
ヒヨドリジョウゴ の実

ヒヨドリジョウゴ

小さなミニトマトのような真っ赤な実をつけます。実には毒があるそうですが、ヒヨドリがこの実を食べているところに何度か出くわしたことがあります。雑木林でも伐採区域でもよく見られます。