3月の小金井周辺流域では、道端で一般的に見られるセイヨウタンポポやオオイヌノフグリ、ヒメオドリコソウのような植物のほか、春にだけ花と葉を地表部に出す春植物(スプリング・エフェメラル)を観察することができます。
その中には、東京都レッドデータブックで絶滅の恐れがあるとされている希少な植物も少なからず見られます。希少な植物が生育しているという事実は、その植物が生育している環境こそが希少であることを示し、玉川上水がいかに貴重な緑地であるかを伺い知ることができます。
植物の種類と生育場所を公表することはできませんが、いずれの区画においても春植物を見ることができます。しかし、区画①で見られる花と区画②,③で見られる花は必ずしも一致しません。
区画①に生育する春植物は雑木林や里山を好むものが見られ、一方で区画②,③に生育する春植物は里山や草地を好むものが見られました。野草にとってみれば樹木伐採による生育環境の変化は大きな問題です。
樹木伐採による日照の変化や土壌の乾燥度などの改変により、生育する植 物の種類が変化した可能性がある、また今後さらに変化する可能性があると考えられます。
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花の写真
写真は玉川上水小金井周辺流域において3月に見られる野草の花です。絶滅あるいは絶滅危惧の区分は東京都レッドデータブックを参考にしています。もし見つけても、採らずにそっと観察してください。
アオイスミレ:山野に生育する。玉川上水では一部でしか見られない。
アズマイチゲ:区部では絶滅、北多摩では絶滅危惧Ⅱ類に分類されている。落葉樹林の樹林内や林縁、ときに草原に生育する春植物。
アマナ:区部および北多摩では絶滅危惧Ⅱ類に分類されている。玉川上水では明るい落葉樹林に咲く春植物。
ニリンソウ:区部および北多摩では準絶滅危惧に分類されており、樹林内や林縁、ときに草原に生育する春植物。
ヒヒメニラ:区部では絶滅、北多摩では絶滅危惧Ⅱ類に分類されている。山野に生育する春植物。
フデリンドウ:日当たりのよい草地や林縁に生育する春植物。
タチツボスミレ:玉川上水では全域で見られる。小金井公園であまり見られないのは、土壌を改変したからだろうか。
ウグイスカグラ:樹木。区画②,③では伐採のためほとんど見られなくなった。
クサボケ:樹木。玉川上水では全域で見られる。低く刈り取られても花をたくさんつける。
コブシ:樹木。小金井流域では1本だけ生育していたが、2020年度に伐採された。