玉川上水小金井周辺流域で見られる野草の花 最終回
文:安河内葉子さん
写真:安河内葉子さん・加藤嘉六さん
昨年3月に開始した「玉川上水小金井周辺流域で見られる野草の花」は、今回で終了となります。短い間でしたが、お付き合いいただきありがとうございました。
2017年から2020年(一部2021年)まで毎年3月から11月にかけて観察した玉川上水小金井周辺流域の野草や樹木について、昨年3月より毎月投稿してきました。観察してきたエリアでは、草原や山地を生育範囲とするもの、東京都では絶滅危惧にあたるものなど、都会ではなかなか見られない植物の数々を確認することができました。都心からさほど離れていない近い小金井で、こんなにも様々な木々や草花に触れることができる場所があることは、私にとって嬉しいことでした。
しかし、小金井市による「玉川上水・小金井桜整備活用計画」事業のため、およそ2キロメートルの範囲で樹木がほぼ伐採され、代わりに人工的にサクラが植樹されました。小金井市はその範囲をさらに広げていく方針です。
※写真はクリックすると拡大します。
伐採された区域ではつる植物が爆発的に増えています。樹木の下にひっそりと生えていた日陰を好む植物は、日当たりを好む植物に飲み込まれてしまいそうです。
玉川上水の緑が今後どう変わっていくのか、継続した調査を行わなければ明らかなことはわかりません。しかし、急激な環境の変化を受けて、生育する植物は確実に影響を受けると考えられます。生育する植物が変われば、それを頼りに生きる虫や鳥たちも変化を余儀なくされるでしょう。
希少な植物、希少な動物だから大切にしなくてはならないというわけではありません。希少な生きものが見られることは、環境の豊かさの象徴です。その環境こそが守るべきものです。そして、大切に守るべきものが身近にあることを知ること、それを子どもたちに伝えていくことが重要であると私は思います。
玉川上水開渠部の30㎞に及ぶ緑道は、都会のなかのレヒュージア(避難所)としてたくさんの生命を支えています。とは言え、航空写真でその姿を見てみると、頼りないほどに細く弱々しい線です。そのうちのわずか数キロメートルの区間の樹木を皆伐したからと言って、あるいは大きな影響はないのかもしれません。しかし、この場所をどのように管理し、子どもたちに残していくのか。その姿勢は、私たちが目指すべきもの示す、大人から子どもたちへのメッセージとなるのではないでしょうか。
小金井の玉川上水がどうあるべきか、ブログを読んでくださった方々の思考の一助になることを願いつつ、この投稿を締めたいと思います。拙い文章を最後まで読んでいただき、ありがとうございました。また、昨年3月から現在に至るまでの記事をちむくいのホームページに掲載してくださったことを、ちむくいの皆様に心より感謝いたします。そして、5年間にわたる調査に参加し、植物のみならず昆虫類や鳥類等についてご教授くださった大石征夫さんと桜井秀雄さん、調査における植物の撮影を担当し、玉川上水に関する様々なお話を聞かせてくださった加藤嘉六さんに、心より感謝いたします。
春の息吹を感じる季節が近づいています。今年もまた、たくさんの花々に出会えますように。